ジェーホは大学のテニス部の後輩です。私はそのテニス部では先輩後輩含めると100人以上の人と関わりがありますが、彼ほど皆から愛されている人はいません。先輩からは弟のように可愛がられ、後輩からは兄のように慕われる人間はそうはいないでしょう。
その理由は一言では言い表せません。ただジェーホは、いつも笑顔でした。それも心から笑っていました。われわれのテニス部は体育会ですので、理不尽な事も多々あります。疲労とストレスのあまり、愚痴や悪口を言ってしまう事も時にはあります。しかし私は、ジェーホが誰かの悪口を言っている所を見た事がありません。どんなに辛くて仲間が愚痴をこぼしている時も、彼は笑って皆を奮い立たせました。
最初の夏合宿で、ジェーホは私に酒で勝負を挑んできました。
「僕、まだ酒でつぶれた事ないんですよ!勝負しますか!」
と、あの快活な笑顔で挑んできた彼は、生まれて初めて酔い潰れました。
それでもなお、彼は笑っていました。
筋トレの際はいつも
「僕はまだ全然大丈夫ですよ」
という不敵な笑みで挑んできました。
バンジージャンプで、誰が一番遠くまで跳べるかを競わせたのもジェーホで、勝ったのもジェーホでした。
後輩ながら、あらゆる事を楽しむ姿勢は心から尊敬していました。
だから今度は私が挑む番です。もう誰の悪口も言いません。愚痴も言いません。笑顔を絶やさず、毎年この日にジェーホに挑みます。
「今年の俺はジェーホより笑顔だったぞ。」
「今年は誰の悪口も愚痴も言わなかったぞ。」
と。
ジェーホに勝つまで何度でも、毎年挑むと誓います。
合掌
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