2018年8月26日日曜日

自動運転をめぐる"思想"

安全重視かお金重視か。自動運転実現に向けた思想の話をします。


自動運転は二つある


自動運転と聞いて最初に思い浮かべる会社はどこでしょうか。
最先端っぽいGoogleか、2018年5月に事故を起こして話題になったUberか
話題性盛りだくさんのTeslaか、バスを方々で走らせているSBDriveか


他にも自動車メーカー、ITメーカー、Startupなどたくさんあります。

昨今のニュースではなんでもかんでも「自動運転」。
しかも「レベル3」とか「レベル5」とか、レベル付けまでされています。


しかし正直、レベル付けなんてどうでもよくて
あなたは安全重視か、それともお金重視か
というところがとっても大事です。

設計思想が全く違う


安全重視というのは、以下のような機能を載せた自動運転。(レベルで言うと0~2)
この派閥の人達はどうすれば事故を減らせるかに興味があります。

  • 緊急ブレーキ・レーン逸脱防止のようにドライバーのミスを補う機能
  • レーン維持などドライバーの負荷を減らす機能 

一方お金重視は、バスやカーシェアを使った新しいビジネスを狙った完全自動運転。(レベル4~5)
この派閥の人達はどうすればお金が稼げるかに興味があります。

  • 公共交通のない地方の新しい交通手段
  • シャトルバスの無人化
  • 配車・駐車を自動化し効率化されたカーシェア
    (空車の場合は駐車する、ユーザーの家の前まで迎えに行く、など)


この二つの自動運転がどれくらい違うかをスターウォーズで例えると、
ドロイドとクローンくらい違います。


ドロイドはジェダイの戦闘機操縦を助けてくれます。
いろんな情報も教えてくれます。人間にはできないデータ処理もします。
クローン兵はタイファイターの出撃から帰還まで完璧にこなすことができます。

しかし目的が違う以上、二つは異なる進化を遂げます。
ドロイドがクローン兵になることは何年かかってもないです。

そう、この二つの自動運転、全く違うんです。

クローン兵(Chauffeur) vs ドロイド(Guardian)

この思想は基本的に相容れない宗派のようなものです。

安全重視というのは中々に茨の道です。毎日何百万台も作る車には当然機械としての誤差が産まれます。乗り手もさまざまな運転をします。年に数回しか運転しないようなドライバーもいれば、毎日運転するドライバーもいて、どちらも必ず事故を起こします。速度制限なんて概ね守られていません。(例: 左折時徐行してる車なんて半分もいない)

安全機能なんて保険と同じようなもので、ビジネスとしてめちゃめちゃ儲かるものでもないはずです。それでも事故を減らしたい、そういう人達がGuardian派になるわけです。


一方お金重視(Chauffeur派)はリスクは少ないです。何百万台もいきなり作るわけでもないし、ビジネスモデルさえ確立すればセンサーはいくらでもつけられる。初期投資にお金をかけられます。乗用車やトラックの価格が今の倍になるとなれば大騒ぎですが、ロボットカーが何百万円してもそんなに気にする必要がないのです。

自動運転は技術的に成熟してきている、と信じている人はこのChauffeur派になりやすいです。私はGuardian派で、無事故達成できればChauffeur派に転身予定です。


以上を踏まえて、自動運転のレベルを2派に分類するとこうなります。


市販の車は概ね安全派に分類され、お金派はそれらと全く異なるセンサーや車でLevel 4を実現します。が、双方を兼ね備えるLevel 3とか、どこでも完全Level 5なんてものは未来永劫登場しないと思っています。今後ニュースで出てくるLevel 3は全てLevel 2に分類できるでしょう。

さいごに

もし自動運転に携わりたいエンジニアがここまで読んだ場合、この派閥はよく考慮して就職活動をすると良いです。R2D2派は自動車メーカーや部品メーカー、クローン兵派はIT企業に行くとマッチング率高いと思います。思想強めな投稿でした、おしまい。

0 件のコメント:

コメントを投稿